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親族内における株式移転では「税金」と「納得」が大事

・後継者に自社株などの事業用資産を集中させることが重要

・王道の承継手順は「退職金支給→株価引下げ→贈与」だが、遺留分を忘れずに!

【自社株などの事業用資産を後継者に】

 

生前に事業承継対策あり

退職金の支給

税金を軽減
相続人の納得

安定した事業承継

株式等の贈与

生命保険の加入

遺言書の作成

 

生前に事業承継対策なし

株価が高いまま

多額の納税
争族勃発

事業の存続危機?

遺産分け進まず

納税資金不足

決議権の分散

 

 

【生前贈与の場合、活用できる税制】


□暦年贈与

会社の株価が安定しており、急激な上昇が見込まれない場合で、相続開始までに時間的余裕があると見込まれるケースや後継者が決まっていないケースなど

 

□相続時精算課税贈与

会社の株価が上昇傾向にあり、後継者が決まっているケースなど

 

 

事業承継対策を"する"  ⇒ ≪得≫

事業承継対策を"しない" ⇒ ≪損≫

 

   

自社株などの事業用資産を後継者に集中させるときの注意点

中小企業の事業承継を考えるうえで、事業を安定的に継承するため後継者に自社株と事業用資産を集中させることは重要な課題です。自社株に係る議決権について100%保有できるに越したことはありませんが、それが困難な場合でも、株主総会で重要事項を決議するため必要な3分の2以上を保有することが望まれます。

 

【議決の種類と必要な決議件数】

・普通決議 

2分の1超

(役員選任解任、計算書類の承認等)

 

・特別決議

3分の1以上

(定款変更、解散、事業譲渡等)

 

・特殊決議

4分の3以上 

(株主ごとの異なる取扱いへの定款変更等) 

 

 

では、後継者に自社株などの事業用資産の全部を贈与すればいいかというと、他に財産が少ない場合には、遺留分を侵害する恐れがあるため注意が必要です。


遺留分とは、相続人に最低限の相続権を保障するもので、原則法定相続分の2分の1(兄弟姉妹及びその子には遺留分なし、直系尊属のみの場合3分の1)です。仮に、遺留分を侵害して遺産分割が行われた場合、遺留分を侵害された相続人は「遺留分減殺(げんさい)請求」を申し立てることができます。そのため、遺留分を考慮に入れたもめない遺産分けを生前から準備しておくことが重要です。

 

王道の承継手段は「退職金支給→株価引下げ→贈与」ですが…

自社株などの事業用資産の移転時期について、相続時に行うべきか、生前贈与で行うべきかはケースによっても異なりますが、相続人が複数存在し確実に特定の後継者に移転したいなら、先代経営者の影響力がある生前贈与が有効です。


業歴が長く業績が良い中小企業の場合、自社株が非常に高く評価される傾向にあり、贈与税の問題で株式移転が進まないことがあります。このような場合でも、現経営者の引退時に退職金を支給することによって一時的に株価を下げることができます。そして、株価引下げ後に「相続時精算課税贈与(60歳以上の父母等から20歳以上の子等に対する贈与に2,500万円の非課税枠。ただし、贈与財産は相続時に相続財産に足し戻しが必要。)を活用し、後継者に株式を移転することによって、大幅に税金を軽減することが可能です。


忘れてはならないのが上述の遺留分問題です。現経営者は、自分の死後、問題が起こるのを防ぐため、遺言を活用して、「遺言書を作成した理由、遺言書に対する想いや願い、財産分けの理由や背景、残された相続人等への感謝の想い」を綴ることができます。このような遺言書の付言があれば、相続人は心情的に受け入れやすく、相続人間の遺産分け争いを防止する効果が期待できます。


また、事業承継資金の確保のため、生命保険の活用も有効です。生命保険の設計としては、契約者・被保険者=現経営者(父)、受取人=後継者(息子など)とするのがポイントです。こうすることで、後継者以外の相続人から遺留分を主張されても対応できるようになります。

 

2018.8.1執筆

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

今村 仁

今村 仁

「節税は義務、納税は権利」がモットーです。
自分の半生について、取材を受けました。

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